研究/微生物機能開発学研究室/宮崎大学
Research/Applied and Molecular Microbiology Lab./University of Miyazaki
ハイドロゲル滑り摩擦場における細菌細胞と微細針状物質の偶然の出会い
Chance meeting of bacterial cells and nano-sized acicular materials in sliding-friction field
細菌細胞と微細針状物質をハイドロゲルの摩擦場に置くと、微細針状物質と細菌細胞は衝突し、穿刺中間体(ペネトロン)と呼ばれる複合体が形成されます。この物理現象はヨシダ効果
と呼ばれています。ペネトロンのおもしろい性質として、微細針状物質に遺伝子をまぶした状態でペネトロンを形成させる と、ペネトロン内部では遺伝子の授受が行われます。ペネトロンは中間体ですので、娘細胞を放出するよう条件を整えれば、細菌の外来遺伝子による形質転換が成立します。ペネトロンの性質を利用して、細菌への遺伝子導入技術、遺伝子発現抑制技術、アスベスト検知技術の開発を行っています。ヨシダ効果の基礎探求としては、地震摩擦進化説
という原核生物の進化機構を唱えようとしています。物理的知見をさらに深め、自然界での意義を見出そうとしています。
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好熱性細菌が触媒する鉱物形成とその機構解明
Mineral crystal formation catalyzed by thermophilic bacterium and its geochemical elucidation
堆肥中から60℃に最適生育温度を示す好熱性細菌Geobacillus thermoglucosidasius NY05 (JCM31848)が単離されました。単離細菌は酢酸塩とカルシウムを含む水溶液中あるいはゲル中、60℃において細胞外に六方晶形やダンベル形結晶の形成を触媒することを見いだしました。X線回折の結果、結晶はマグネシウムーカルサイトであることがわかりました。結晶の長径は100μm程度で強力な蛍光特性を有しています。蛍光顕微鏡観察 では励起波長を365+/-5、480+/-20、545+/-5nmとするとそれぞれ青、緑、赤色蛍光が観察されます。本研究は結晶の蛍光特性を詳しく解析比較し、産業への利用を確立させることが目的です。また単離細菌がどのように結晶を形成するのか、そしてなぜ結晶を形成するのかその意義を地球化学的に明らかにしようとしています。
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アンモニアガス耐性微生物の探索と化学合成独立栄養性
Study on gaseous-ammonia tolerant microorganisms and their chemoautotrophic property
アンモニアガスは生物にとって毒性が高く、生育を激しく阻害して成長を止め、細胞死を引き起こします。微生物のアンモニアガス耐性を調べていく中で、生育阻害とはうらはらにアンモニアガスの中を好むという微生物の存在が明らかになってきました。アンモニアガス耐性細菌は、高度アンモニアガス耐性細菌とアンモニアガス利用細菌に二分されます。さらにアンモニガス利用細菌は、絶対アンモニアガス要求生細菌と通性アンモニアガス要求生細菌に分けることができます。アンモニアガス利用細菌の多くはアンモニアガスを酸化してエネルギーを得る独立栄養性を示します。単離したアンモニアガス酸化細菌の中には好気的窒素(N2)固定をして窒素源を得る種もいることがわかりました。有機炭素源、結合体窒素源なしで増殖可という未知の生育特性を見ることができます。また60℃を最適とする好熱性アンモニアガス酸化細菌も見つかりました。正体不明の硝化細菌であるといえます。アンモニアガス利用細菌を詳しく調べれば、地球上における未知窒素循環経路を知ることができます。またアンモニア大気があるような惑星における地球外生物の存在可能性を示すことができます。
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